Prime[N]〜12人の尺八と12人の箏のための〜 素数の音楽
第3回
前回に引き続き音楽の要素についてです。
音楽を作るすべての要素とは
前回、音楽の最小単位の件から、ピッチとタイムは音楽にとって必要不可欠な要素となります。これだけでもある程度の表情を作る事は出来るとは思いますが、さらに音楽に表情を付けるには、どのような要素が必要なのかを考えてみます。
デュレーション
まず前回メロディーの最低限の要素としてデュレーション(音の長さ)を除外しましたが、この理由は簡単なことで、或るメロディーをスタッカートで演奏してもレガートで演奏してもそのメロディー自体は認識することが出来るからです。ではデュレーションとは何に対して作用しているのかというと、表情につての要素ということになります。
ダイナミクス
このダイナミクス、つまり強弱ですが音楽に表情を付けるにはこの強弱がないとただの音の羅列に過ぎなくなってします。ここで言うダイナミクスは「このフレーズはフォルテでとかピアノで」と言ったような楽譜に書いてある大まかなものだけではなく、ピアノでドレミファと4つの音を弾くときにどの音を強めに弾くかといった細かいものも含みます。
ダイナミクスが非常に重要なファクターである事を示すために、ドラムの叩き方を例にします。まずドラムを均一なタイミングで叩いた時に一定な強さで叩けばビート感は生まれませんが、強く叩く所と弱く叩く所を任意に決めて規則的に繰り返すと或るビート感が生まれてきます。つまり表情が付くわけです。先ほどの音楽の3要素であるリズムとは、タイムだけで無く、ダイナミクスが非常に重要だということが分かると思います。
音色
音色(Color)というのは音楽にとって最も基本であって、余りにも基本的すぎて音楽の主要要素(音楽の3要素)に入れてもらえなかったのではないでしょうか?つまり音楽を演奏するとか歌を歌うと言うことは必ず音色が存在する訳です。それがなければ聞こえないですから・・・。 特に現在では音色はシンセサイザーやサンプリングといったエレクトリカルな音色、アコースティック楽器の更なる音色の追求やエフェクターの変調による効果、またはノイズ・・など、あらゆるものが音楽素材として取り入れられるようにになりました。この無限大とも言える音色から何かを選ばなくてはいけないというこは、作曲をする上での表現力は増す一方、とても悩ましいことです。
まとめ
音楽の要素のまとめとして整理しておきます。
- ピッチ(音の高さ)
- タイミング(リズム)
- デュレーション(音の長さ)
- ダイナミクス(強弱)
- 音色
ここに挙げた5つの要素が基本音楽要素といって良いと思います。
つまりこの5つの要素をパラメータ化し、そのパラメータに何らかの値を入力すれば音楽が出来るということです。
次回、素数からピッチへの変換を説明いたします。
作品データ
Prime[N]〜12人の尺八と12人の箏のための〜 素数の音楽 / 作曲:鈴木友彦
この作品の音源はYoutubeにアップしてありますのでこちらをお聴き下さい。
作品のスコアのPDFもこちらからダウンロードできます。