Prime[N]〜12人の尺八と12人の箏のための〜 素数の音楽

第2回

前回下記の順番で話を進めるつもりだったのですが、1.「Excelによる素数の出力プログラム」と2.「素数を使った作曲方法」の説明の順番を入れ替えて説明しようと思います。というのは、1.については素数の出力プログラムについての事であって、直接この音楽を説明するということではありませんので、もう少し話が進んできたところで1.についての説明をするつもりです。

  1. Excelによる素数の出力プログラム
  2. 素数を使った作曲方法
  3. Excelによる数値化プログラム
  4. ノーテーション

素数とはなにか

この作品タイトルになっている「素数」とはなにかということですが、これは私たちが中学の数学の授業で習ったと思われる素数のことであって、特別な意味はありません。とはいっても、忘れている方も多いのではと思いますので少し説明します。英語でPrime Numberと訳されますが、Primeと言う言葉を調べると、主要な、根本的な、基礎的な、本質的な・・・などという意味です。つまりどういう数なのかというと、1と自分自身の数以外に正の約数を持たない自然数のことを言います。但し1は含まれません。例えば[2,3,5,7,11,13]のような数が素数です。ちなみに、素数でない2以上の自然数は合成数と呼びます。

素数についての詳しい説明は他の数学の専門サイトなどを参考になさって下さい。私が現時点で参考にしたサイトの1つはこちらのページです。こちらのページは後藤丈志さんという大学の数学科の先生のサイトです。このサイトの説明にある「 物質における元素のようなもの」と「素数は無限個あります」ということがとても興味深いことです。

音楽の要素への変換

では実際素数から音楽的要素に変換する事を考えます。素数は数字ですので、いくつかある音楽の要素を数値化しなければなりません。では音楽の要素とはなにか。よく音楽の三要素として、メロディ、ハーモニー、リズムということが言われていますが、この音楽の3要素とは誰が言った言葉で具体的に何を指してそのように言われているのか、ネットを調べても見つかりません。わざわざ図書館に行って調べるのもなんなのでやりませんが・・・。ここで言っている三要素を少し具体的に見ていきます。

  • メロディーとは音の高さ(ピッチ)とタイミング(リズム)と、音の長さ(デュレーション)が組み合わさって出来る現象と言ったら良いでしょう。
  • ハーモニーとは2つ以上の違う高さ(ピッチ)の音が同時に鳴っている時の現象または効果ということになるでしょう。
  • リズムとは一定のパルスとかビート(拍子)のようなものを指していると考えられます。
音楽を形作る最小単位

このように音楽の3要素といっても音楽を作る最小単位という訳ではないということです。つまりメロディとはピッチ、タイミング、デュレーションという3つの要素が必要です。デュレーションという要素はなくしたとしても、最低限ピッチとタイミングが必要です。そしてハーモニーはピッチという要素だけで構成され、リズムは時間に関する要素となります。総合的に考えると、音楽を形作る最小限の要素とはピッチに関する要素タイム(時間)に関する要素の2つに集約することが出来ます。

しかし、これだけで音楽の要素になるのでしょうか?

次回は音楽を作るすべての要素を考えたいと思います。

作品データ

Prime[N]〜12人の尺八と12人の箏のための〜 素数の音楽 / 作曲:鈴木友彦

この作品の音源はYoutubeにアップしてありますのでこちらをお聴き下さい。

作品のスコアのPDFもこちらからダウンロードできます。