Prime[N]〜12人の尺八と12人の箏のための〜 素数の音楽
第4回
素数からピッチへの変換
前回の音楽の最小要素とはなにかと言うことに於いて
- ピッチ(音の高さ)
- タイミング(リズム)
- デュレーション(音の長さ)
- ダイナミクス(強弱)
- 音色
と結論づけた訳ですが、この曲に関して言えば5番目の音色については、予め尺八と箏と言うことで決まっておりましたので、この項目は除外致します。
では、ピッチについて考えてみます。私が素数を使った音楽を作ろうと漠然と考えていた時に、ピッチについてアイデアが浮かびました。その方法は、素数を13で割った余りを求めると言う方法でした。今回使う音程の種類は12個(普通の半音階)と言うことでしたので、この方法ですと、ちょうど素数を13で割ると余りが1〜12の12種類現れることになり、その12の数字に固有のピッチを割り当てれば良いことになります。例外として素数である13を13で割ると、当然のことながら割り切れてしまいますので、13に関しては例外扱いと言うことにします。
しかし、この段階では単なるアイデアに過ぎず、はたして素数を13で割った余りの12種類の数は偏りがなく、どの数も同じような確率で出現するのかという疑問でした。もしある特定の数だけが多く出現するという事になると、ピッチが偏ってしまい素数の作り出す無限なランダム性を表現することが出来なくなってしまいます。ここでいろいろと検証が必要になります。
さらに、13という数字で素数を割るというアイデアを発展させると、割る数が13以外の数で割った時の余りはどうようになるのか、という興味も湧いてきます。少し大変になりましたが、これはやっておかなければなりません。それに、どのような結果になるのかも楽しみです。
次回は検証作業です。
作品データ
Prime[N]〜12人の尺八と12人の箏のための〜 素数の音楽 / 作曲:鈴木友彦
この作品の音源はYoutubeにアップしてありますのでこちらをお聴き下さい。
作品のスコアのPDFもこちらからダウンロードできます。