Prime[N]〜12人の尺八と12人の箏のための〜 素数の音楽

今日から少しずつこの作品の創作過程を少しずつ順を追って解説していきたいと思います!

言ってみれば自分の創作過程の覚え書きのようなものです。その時の自分の感情やその時に考えていたことなど取り混ぜて書いて行きたいと思っておりますので、興味がある方はお付き合い下さい。

この曲が完成したのは2010年の夏頃だったというのが、ファイルの日付から分かりました。現在この解説を書いているのが2015年5月ということで5年前ということになります。少し前の事なので記憶が曖昧な事もあるかと思いますが、なんとか思い出して書いてみようと思っております。

創作過程の解説についての大まかな流れ

  1. Excelによる素数の出力プログラム
  2. 素数を使った作曲方法
  3. Excelによる数値化プログラム
  4. ノーテーション

大まかにこの4つのブロックで構成して行きたいと思います。

作品データ

Prime[N]〜12人の尺八と12人の箏のための〜 素数の音楽 / 作曲:鈴木友彦

この作品の音源はYoutubeにアップしてありますのでこちらをお聴き下さい。

作品のスコアのPDFもこちらからダウンロードできます。

作曲のきっかけ

この作品は2010年に書き上げたことを先に書きましたが、さらにその3年前にさかのぼります。

2007年頃、私はExcelのマクロを使っていくつかのプログラムを作っていました。そのプログラムは直接音楽には関係ないものでしたが、マクロで面白いことが出来そうだという期待感があり、いわゆるはまった状態でした。

そんな時“素数”を出力するマクロを作ろうと思ったのがそもそものきっかけになっているのです。

しかし”素数”を使って音楽を作るという発想が先だったのか、Excelマクロの素数出力プログラムを作ったのが先だったのかは、良く憶えていないのですが、同じような次期だったような気がします。

*Excelとはマイクロソフトの表計算ソフトのことで、表計算と言えばほとんどの方はこれを使っていると思います。マクロとはVBA(Visual Basic for Applications)というマイクロソフトのプログラム言語のことで、ExcelやWordなどのアプリケーションで、作業を自動化したりする時に使われるものです。

その当時私は、Mac Office 2004のExcelを使っていました。Mac版のExcelでは使える関数やマクロがWindows版Excelに比べて少ないということなのですが、それは後で分かったことでその頃は全く知らなかったわけです。とはいえ、Macしか持っていなかったのでそれを知ったところで、Windows版Excelを使おうとは思わなかったと思います・・・。

アプリケーションの仕様の話はさておき、2007年に素数出力プログラムを作ってから2010年の作品完成まで3年も掛かっています。といっても素数出力プログラムが完成して、すぐに作曲に取りかかったわけではなく何も考えていない時期が結構あったのです。たぶん最後の1年間くらいで色々と作曲方法を詰めていったと記憶しています。

この曲の作曲に欠かせないもの

この曲の題材は”素数”であり、最初の素数素材を作る事(素数出力)から始まり、実際の音を構成する所まで、ほとんどExcelによって計算されています。つまりExcelというソフトなくしてはこの曲は出来なかったと言って良いでしょう。

作曲についての方法と併せてExcelに於ける関数やマクロについても、出来るだけ細かく記して行こうと思います。

次回から本題に入ります。